今度はJAXAが打ち上げた月探査機かぐやについて調べてみようと思います。
かぐやについての基本情報
正式名称: SELENE(かぐやはニックネーム)
所属: JAXA(宇宙航空研究開発機構)
目的: 月の周回観測
打ち上げ日時: 2007年9月14日
運用終了日: 2009年6月11日
特徴: 14種類の観測機器を搭載し、月面から高度100kmの月周回観測軌道で観測を実施。
観測項目および機器概要
主な観測項目
探査項目 | 観測装置 | 観測内容 |
---|---|---|
月面元素組成探査 | 蛍光X線分光器(XRS) γ線分光器(GRS) | 月面元素分布 〃 |
月面鉱物組成探査 | マルチバンド・イメージャー(MI) スペクトル・プロファイラー(SP) | 月面鉱物分布 〃 |
月面地形・地下構造探査 | 地形カメラ(TC) レーザー高度計(LALT) 月レーザー・サウンダー(LRS) | 地形探査 〃 月表層探査 |
月重力場探査 | リレー衛星中継器(RSAT) VRAD衛星電波源(VRAD) | 重力分布 〃 |
月周辺環境探査 | 磁力計(LMAG) プラズマ観測機(PACE) 粒子線計測器(CPS) 月電波観測装置(RS) | 磁気分布 電子・イオン分布 宇宙船・宇宙放射線粒子 月電離層探査 |
地球環境観測 | プラズマ・イメージャ(UPI) | 地球電離圏・磁気圏・オーロラ |
広報カメラ | ハイビジョン・カメラ(HDTV) | 「地球の出」撮影、ほか |
機器概要
主衛星(かぐや)
サイズ: 2.1m×2.1m×4.2m(縦×横×高さ)
重さ: 1.6トン
エンジン: 500Nメインエンジン1台、20Nスラスタ4本×3系統、1Nスラスタ4本×2系統
高度100km、約2時間で月を一周する軌道で観測。
2008年11月1日から後期運用に入り、高度50kmで周回。
2009年6月11日に月の表側に制御落下。
リレー衛星(おきな)
サイズ: 直径1m、高さ0.65m
主衛星が月の裏側にいる間の電波中継。
姿勢制御装置やスラスターモータは非搭載。
10月9日に分離され、月周回軌道(約100km×2400km)に投入された。
2009年2月12日に月面に落下。
10月9日に分離され、月周回軌道(約100km×2400km)に投入された。
2009年2月12日に月面に落下。
VRAD衛星(おうな)
サイズ: 直径1m、高さ0.65m
姿勢制御装置やスラスターモータは非搭載。
主衛星、リレー衛星、VRAD衛星間のVLBI測定と電波送信源の役割を実施。
10月12日に分離され、月周回軌道(約100km×800km)に投入された。
2009年6月29日に電源停止、その後数年間周回を続ける見込み。
月周回軌道への投入手順
- 地球周回軌道を脱し、月への遷移軌道に乗せる。
- 月遷移軌道に乗った「かぐや」は、やがて月の公転軌道に達する。
- 「かぐや」が、月の公転軌道に到達したところに、「かぐや」より10倍も速い速度でタイミングよく月がやってくる。
- 「かぐや」は月の重力に引っ張られるかたちで月にとらえられる。
- 「かぐや」は500Nのメイン・エンジンを噴射して減速操作で月を巡る周回軌道に乗る。
※月の科学―「かぐや」が拓く月探査(P272)
かぐやによる成果
- 月南極のシャクルトン・クレーターには露出した氷(水の氷)がほとんど存在しなかった。
- 月の裏側のモスクワの海などの形成時期が従来の推定よりも5億年以上若いことを明らかにした。
- 月の最高峰は10.75キロメートル(従来の値を約3キロ上回る)、最深部がマイナス9.06キロメートルであることが分かった。
- ハイビジョンカメラによる「満地球の出」、「月面」、および月から見た地球の「ダイヤモンドリング」の撮影に成功した。
- 月の裏側の重力異常の観測に成功し、ジャイアント・インパクト説の信憑性が高まった。
- 月に永久日照領域が存在しないこと、月に永久影が存在することを明らかにした。また地形データより月の水を発見した。
- 「ハロー」と呼ばれるアポロ15号 (LM) の噴射跡を観測した。
- 月面からウランを検出した。
- 制御落下に成功し、将来の月面着陸型無人探査機の投入に向けた技術的検証が行われた。
- 月の表側にある嵐の大洋の西部にある「マリウス丘」に、横幅370メートル、内高20~30メートルのトンネルが存在することが明らかになった。
「ハロー(噴射跡)」とみられる付近の地形カメラの拡大画像 (左図は、1km四方の画像。赤い円が「ハロー(噴射跡)」と考えられる場所。) JAXAのサイトより |
かぐやが撮影したHD動画
アポロ計画捏造説#73 につづく
参考URL
Wikipedia - かぐや
http://4d2u.nao.ac.jp/t/var/download/LunarTopography.html
http://sorae.jp/030201/5202.html
月の科学―「かぐや」が拓く月探査
0 件のコメント:
コメントを投稿