今度はマウラー社の16mmフィルムカメラについてまとめようと思います。
このカメラは Wikipedia では扱っておらず、また NASA の技術資料はいろんな資料に断片的に書かれているので、いろいろなところから資料を集めてつぎはぎでまとめています。
マウラー社の16mmフィルムカメラ(The Maurer 16mm Data Acquisition Camera)
マウラー社の16mmフィルムカメラ(DAC)は、月着陸船が着陸や接近オペレーション中にパイロット(LMP)の窓から撮影したムービーがもっとも有名です。また、月面で撮影したすべての映像証拠(地球に送信したビデオと混乱しないように))はDACを用いて行われました。また、アポロ11号では、毎秒1フレーム(fps)の設定で、EVA活動のほとんどすべてを月着陸船パイロット(LMP)の窓からストップ・モーション撮影を行いました。アポロ12号では月面作業用のキャリアに取り付けられ、アポロ14号ではMETに取り付けられ、J-Seriesミッションでは月面車(LRV)に設置されました。J-Seriesが使われたアポロ15号と16号の2つのミッションでは、1 fps の設定で月面車のルートに沿って地形を記録するのに使われました。このシステムのわずかに異なったバージョンがあって、司令・機械船(CSM)に取り付けられドッキング操作といったオペレーションを撮影しました。
システムの主要な要素を示す簡単な略図。
フレームレートは自動モードの 1 fps、6 fps、12 fps と 半自動モードの12fps があり、それぞれ 93.3、15.5、7.8、3.7分の記録時間となっていました。フレームレートで緑色の光パルスが放たれました。基準マークがフィルムに記録されました。カメラは手に持たれて使われたり、月着陸船の窓に設置されたり、月面車に設置されたりして使われました。カメラの電源は、28-vdc ユーティリティコンセントを通じて、宇宙船の電気システムから供給されました。カメラの操作は正面にあるオン・オフスイッチによって手動で行われました。カメラの重さはフィルムマガジンよりも軽くて、0.8 kg でした。宇宙船のランデブーウインドウに取り付けられた時、視界のカメララインは司令船のX軸に対して平行(+2度)でした。カメラの付属品には次のようなものがありました。電源ケーブル、フィルムマガジン、レンズ、直角ミラーそれと環形照準器、これらは後ろで詳しく説明しています。リモコンケーブルも使われました。
電源ケーブル
電源ケーブルは宇宙船の電力システムと16mmカメラを接続します。ケーブルの長さはおよそ2.74mで、重さはおよそ 0.4 kg です。28ボルトのユーティリティレセプタクルが宇宙船パネルの15番、16番、100番に配置されています。
16mm フィルムマガジン
各ミッションのフィルムは、グローブをはめた乗組員でも簡単に取り付けおよび取り外しのできる、、あらかじめ組み込まれたフィルムマガジンで準備されました。フィルムの容量は薄型フィルムの 40m です。フィルムを入れたマガジンの総重量はおよそ 0.4 kg です。フレームレートに対するマガジンの利用可能時間は 1 fps で 87 分から 24 fps で 3.6 分となっています。各マガジンはフィルム残量表示とフィルムの端には赤色の光の表示が付いていました。将来的には 120m の容量のフィルムマガジンにする計画があります。供給されるフィルムの量やタイプはミッション要件によって決められます。
レンズ
16mm のカメラを使うのに、3つの焦点距離の異なるレンズが提供されます。
10 mm
広角レンズ、視野は41.1度×54.9度。船内活動で詳細画像が必要な時に使われました。F1.8から22までの絞り開口で焦点は15cmから無限大までとなっています。グローブをはめた手で絞り目盛りや距離をセッティングするために2つのスパイク状のハンドルが付いています。
18mm カーン
やや広角に設計され高い光学品質のレンズ。主な用途は宇宙船-宇宙船の撮影で、左右のランデブー窓の所にブラケット接続されます。直角ミラーを使用することのできる最も広い広角レンズとなっています。このレンズは通常はカメラにしまってあります。視野角は24×32度、重量は約360g、グローブをはめた手で絞り目盛りや距離をセッティングするために2つのスパイク状のハンドルが付いています。この改良されたレンズはEV宇宙服を着ているときにも読めるよう大きな番号で書かれています。
75mm カーン
優れた光学特性を持つよう設計された望遠レンズ。主な用途は遠くの物体や地形の写真のためです。通常は窓に設置されたカメラで使用されます。視野角は6×8度、重量はおよそ360gです。このレンズは新しい18mmレンズに見た目が似ており、グローブをはめた手で絞り目盛りや距離をセッティングするために2つのスパイク状のハンドルが付いており、大きな数字が印字されています。また、サンシェードもついています。
広角レンズ、視野は41.1度×54.9度。船内活動で詳細画像が必要な時に使われました。F1.8から22までの絞り開口で焦点は15cmから無限大までとなっています。グローブをはめた手で絞り目盛りや距離をセッティングするために2つのスパイク状のハンドルが付いています。
18mm カーン
やや広角に設計され高い光学品質のレンズ。主な用途は宇宙船-宇宙船の撮影で、左右のランデブー窓の所にブラケット接続されます。直角ミラーを使用することのできる最も広い広角レンズとなっています。このレンズは通常はカメラにしまってあります。視野角は24×32度、重量は約360g、グローブをはめた手で絞り目盛りや距離をセッティングするために2つのスパイク状のハンドルが付いています。この改良されたレンズはEV宇宙服を着ているときにも読めるよう大きな番号で書かれています。
75mm カーン
優れた光学特性を持つよう設計された望遠レンズ。主な用途は遠くの物体や地形の写真のためです。通常は窓に設置されたカメラで使用されます。視野角は6×8度、重量はおよそ360gです。このレンズは新しい18mmレンズに見た目が似ており、グローブをはめた手で絞り目盛りや距離をセッティングするために2つのスパイク状のハンドルが付いており、大きな数字が印字されています。また、サンシェードもついています。
直角ミラー
このアクセサリーは、16mmカメラとレンズにブラケット接続されたとき、乗組員の干渉を最小限に抑えつつ、司令船のX軸に平行となる視野のラインに沿って、宇宙船のランデブー窓からの撮影をしやすくします。バヨネット方式のマウントで18mmや75mmレンズを取り付けます。
環形照準器
このアクセサリーは、カメラが手持ちの時に、16mmカメラで照準を合わせる補助部品といて使われました。明暗のついた円形リングは、のぞきこむとビューが多重に見え、視野角を決めるのに役立ちます。Cレールでスライドする金属板がカメラに装着されています。また、70mmカメラでも使われています。
DACカメラマウント
このデバイスは無重力の宇宙船の左右ランデブー窓に16mmカメラを飛行途中で取り付けるのを簡単にします。マウントはどちらかのランデブー窓に合わせたアダプターに取り付けることのできる急速着脱式の手動グリップです。カメラは、ノブによってカメラに対してねじ止めされているフリクションロックとスライドレールを使って、マウントに取り付けます。2つのマークされた停止ポイントは、一つは18mmレンズ用、もう一つは75mmレンズ用の、窓にカメラを正しく設置するためのものです。マウントの位置調整は、設置されたカメラ・レンズの視野からのラインは司令船のX軸と+1度の誤差で平行となります。
16mmカメラの六分儀アダプタ
16mmカメラは、月周回中の司令船の六分儀を通じて六分儀アダプタを使うことにより、月の写真を撮るのに使われます。アダプタは、ガイダンスとナビゲーションパネル122SXTソケットに直接マウントする、約20センチの長さの光学ユニットです。カメラはバヨネットを使ってアダプタに接続されます。
DACタイミングケーブル
DACタイミングケーブルの機能は、16mm DACに28V DCの電源を供給し、RHEBパネル227とPCMジャンクションボックスにシャッター信号を送ることです。DACタイミングケーブルは、終端にコネクタを付けて、80cmの長さがあります。DACコネクタはオレンジのマークが付いていて、P1 - DAC PWR とラベルされています。パネル227のコネクタは2mの大きさがあり、青みがかったグレーのマークが付いており、P2 - PNL 227とラベルされています。打ち上げの時点で、ケーブルは巻かれて、ユーティリティストラップで固定されて、L2に収納されます。右側のランデブー窓でDACをマウントした後、DACタイミングケーブルは取り出され、コネクタ(P1 - DAC PWR)がカメラに取り付けられます。パネル227のSC1 INST PWR スイッチがOFFになっているのを確認し、ケーブルコネクタ(P2)がパネルレセプタクルに接続され、パネルスイッチをPWRにします。カメラ操作時には、シャッター信号がPCMジャンクションボックスに送られます。
16mmカメラの操作
カメラマウント(グリップ)を収納ボックスから取り出し、ランデブー窓のダブテール(V字型の継ぎ手)に取り付けられます。16mmカメラとアクセサリーが必要に応じて取り出されます。レンズを選んで装着します。直角ミラーはオプションでレンズに取り付けられます。リングも必要に応じて手持ち時カメラに取り付けられます。フィルムマガジンがカメラに取り付けられます。適切な露出を決めます。レンズ口径と焦点を設定します。カメラモード(フレームレート)とシャッタースピードを設定します。電源ケーブルをカメラに取り付けます。必要なら、カメラを窓に取り付けるためのマウントを設置します。ユーティリティパワースイッチをオフに設定し、カメラの電源ケーブルを正しいコンセントにつなぎ、そしてユーティリティスイッチをPowerにします。フィルム撮影操作はカメラ正面にあるOperateボタン(スイッチ)を押すことによって始まります。カメラを停止する際には、Operateボタンを再度押します。
アポロ計画捏造説#66 につづく
参考URL
http://www.ninfinger.org/karld/My%20Space%20Museum/apollocams.htm#DAC
http://www.lpi.usra.edu/lunar/missions/apollo/apollo_15/photography/
http://www.history.nasa.gov/ap16fj/02photoequip.htm
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